小さく儲けろ!

成長志向のマインドセット

成果主義ではなく成長主義こそ求めるべきもの。大切なのは、失敗から学ぶ姿勢。素直さ。
  • 有名なドゥエックの研究が引用されている。「努力を賞賛された子供たちは挫折に直面しても、知的な自信を失うことがなかった」結果ではなく過程を褒めなくてはならない。ドゥエックは、こうした傾向が年齢と無関係に存在すると主張している。これは、成果主義が長い目で見て愚策であることを示唆している。
  • エド・キャットムルは、ピクサーの創造的プロセスについて、「『つまらない』から『つまらなくない』へと変える作業だ」 と要約する。ピクサーでは、途中で大幅な変更が加わることは日常茶飯事のようだ。そういうマインドで仕事をしているということ。

素早い失敗、素早い学習

失敗前提なら最初の一歩が踏み出しやすい。プロトタイプのメリットは、視覚化により、フィードバックがかかりやすくなること。目に見えることはとても大事(○:写真、☓:言葉)
  • 失敗から効果的に学習できるように、このバランスを正常に保つ上で非常に有効な方法は、プロトタイプの利用だ。やすいコストで荒削りなプロトタイプを作ることは、素早く失敗し、素早く学習するのに効果的だ。
  • 不健全な完全主義:外面に動機がある(両親からの圧力、賞賛を得たいという思い、過去の成功・失敗)。抑うつ、不安、摂食障害などの傾向。
  • 健全な完全主義:内面から動機づけられる(優秀性・卓越性のような強い個人的価値観)。人生の満足度が高く、楽天的な傾向。
  • P&Gでは、完全主義のマインドセットを、プロトタイプを活用するデザイン思考のそれへと変化させた。同社の不健全な完全主義は、新製品を出すまでに時間が掛かり過ぎるという問題を抱えていた。ダーティプロトタイプにも関わらず、フィードバックの質が上がったとP&Gの役員は語っている。

遊びの天才

 アイディア出しでは、"Yes, and ... " (いいね、それで ...) で会話を始めるべきということは、ティナ・シーリグも指摘している。相手の意見を受け入れたことを伝えて、それを更にふくらませる態度は、しょうもない案も出して欲しいアイディア出しのプロセスではとても重要。
  • 即興にはいくつかの原理原則がある。ひとつは、「オファーは全部受ける」べきであること。
  • 互いを批判しないことで、可能性を生み出すポジティブな空気が作られる。
  • ピクサーのプラシング(+ing):改善提案のときに、批判的な言葉を使わない。「ウッディの目が気に入ったよ。それから、もし...」(and でつなげる、but でつなげない) 

問題は新しい答え

既存の問題を解決するのにとどまらず、まだ誰も指摘していない問題を見つける事こそ大切。これによって可能性を広げられるから(前者は効率化、後者は革新、両者にリソースを割くべき)。問題の発見は組織・個人の成長に依存する。
  •  全てに意味がある必要はない、愚行は許される。
  • チクセントミハイ:35人の芸術家を研究(27種類の物体のいくつかを使って絵を描かせる)した結果、被験者の中でもっとも創造的な人々は、そうでない人々に比べて、自分のアイディアを実験したり、練り直すことを受け入れたりしやすい傾向にあることを発見した。問題発見型の人々は、より多くの物体、より複雑な物体を選んで描いた。彼らはより多くの可能性を探り、新しい機会が見つかった時に、自分の作品の方向性を変えることをためらわなかった。他方問題解決型のの人々は直ちに絵を描き始めた。問題解決型芸術家の作品は、問題発見型のそれより、創造性に乏しいと判断された。18年後の調査で、問題発見型芸術家の作品は、同業者から高く評価されていることがわかった。
  • サービスを展開する時、ユーザ数が1万人になったときに、最初の10人の時に解決しようとしていた問題についての仮定の多くが誤っていたと気づくだろう。それまでに学ぶであろう新しい知識によって、ほぼ確実にコードの大部分を捨て、書き直す必要が生じる。1000万人のときにも同じことが起きるだろう。ユーザが一人もいないうちに全部の質問に答えることができようか?

質問は新しい答え

 問題発見は、人の観察から。遠くから鳥瞰するだけでなく、対象に接近して「虫感」することを実践せよ。
  •  ユヌス「教室の外の舗道やポーチで、人々が餓死していくとき、私の複雑な理論にいったい何の価値があるというのか」「私が教えた経済理論の中に、身近な生活に反映されたものは何ひとつなかった」「経済学者は発展と繁栄のプロセスを詳しく述べることにその才能を空費し、貧困と餓えの原因と進行に向き合うことがほとんどない」
  • スティーブ・ブランク「ビルディングの中に事実は存在しない。あるのは意見だけだ。」
  • スティーブ・ジョブズ「創造とはものごとをつなぎ合わせることだけ。」(創造的な人々がつなぎ合わせることができるのは)「人よりも多くの経験をしているか、自分たちの経験について人よりも多く考えているからだ」
  • イノベータは、「もし〜だったら?」「なぜ?」「なぜ〜でないか?」を尋ねることによって、現状打開を求め続ける。これにより、彼らは現状維持バイアスから完全に解き放たれる。
  • グレセーガン「4歳児を見ていると、彼らは常に質問し、ものごとの仕組みを知りたがっている。しかし、6歳半を過ぎると質問をしなくなる。それは、面倒な質問より正しい答えのほうが、先生に高く評価されることを素早く学び取るからだ」ヒドゥン・カリキュラムか?
  • イノベータは、両親や先生、隣人、家族などの人たちからの激励によって、自分の直感的興味を追求する。グレセーガン「彼らが、自分たちは実験や探求を大切に思う人たちによって支えられている、と話すのを聞いて私達は感銘を受けた」

大から小を学ぶ

 自分の運は、努力で生み出せるらしい。
  • イノベータは、異なる経歴を持つ人たちと定期的に交流を持っている。
  • 『凡才の集団は孤高の天才に勝る』『メディチ・インパクト』:視点、経験、環境に代表される人のもつ全ての多様性は創造性を掻き立てるものであることを示す圧倒的な証拠で示している。
  • 人はあまりにも、専門家や指導者などという人々が全ての答えを持っていると考えがちであるが、現実は、知識はもっとはるかに広く分散している。
  • 『運のいい人、悪い人』ある実験でワイズマンは、自称運がいい人たち、悪い人たち両方に新聞を私、そこに載っている写真の数を数えさせた。運の悪いグループが作業を終えるに約2分かかったのに対して、運のいいグループはわずか数秒だった。実は新聞の2ページ目に「数えなくていい、この新聞には写真が43枚載っている」と書かれていた。メッセージは紙面の半分を占め、文字の大きさは5センチ以上あった。
  • 運の悪い人たちは、同じタイプで自分に似た人たちと話す傾向がある。運のいい人たちは、好奇心旺盛で、偶然の出会いから生まれる利点を受け入れやすい。
  • ワイズマンによると、運のいい人たちは社交的場面で、運の悪い人たちに比べて、身振り手振りが3倍大きく、2倍微笑んだ。
  • ワイズマン「運のいい人たちは、出会った人々と強固で長続きする人間関係を形成することに長けている。彼らは打ち解けやすく、ほとんど誰にでも好かれる。概して疑いを知らず、ほかの人たちと密な関係を結ぶ。その結果、運の悪い人たちと比べて、ずっと多くの友達や同僚と、頻繁に連絡を取り合うようになる。そして繰り返し、繰り返し、この友達ネットワークが彼らの人生の機会を発展させるのに役立っていく。」



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