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小さく儲けろ!

成長志向のマインドセット 成果主義ではなく成長主義こそ求めるべきもの。大切なのは、失敗から学ぶ姿勢。素直さ。 有名なドゥエックの研究が引用されている。「努力を賞賛された子供たちは挫折に直面しても、知的な自信を失うことがなかった」結果ではなく過程を褒めなくてはならない。ドゥエックは、こうした傾向が年齢と無関係に存在すると主張している。これは、成果主義が長い目で見て愚策であることを示唆している。 エド・キャットムルは、ピクサーの創造的プロセスについて、「『つまらない』から『つまらなくない』へと変える作業だ」 と要約する。ピクサーでは、途中で大幅な変更が加わることは日常茶飯事のようだ。そういうマインドで仕事をしているということ。 素早い失敗、素早い学習 失敗前提なら最初の一歩が踏み出しやすい。プロトタイプのメリットは、視覚化により、フィードバックがかかりやすくなること。目に見えることはとても大事(○:写真、☓:言葉) 失敗から効果的に学習できるように、このバランスを正常に保つ上で非常に有効な方法は、プロトタイプの利用だ。やすいコストで荒削りなプロトタイプを作ることは、素早く失敗し、素早く学習するのに効果的だ。 不健全な完全主義:外面に動機がある(両親からの圧力、賞賛を得たいという思い、過去の成功・失敗)。抑うつ、不安、摂食障害などの傾向。 健全な完全主義:内面から動機づけられる(優秀性・卓越性のような強い個人的価値観)。人生の満足度が高く、楽天的な傾向。 P&Gでは、完全主義のマインドセットを、プロトタイプを活用するデザイン思考のそれへと変化させた。同社の不健全な完全主義は、新製品を出すまでに時間が掛かり過ぎるという問題を抱えていた。ダーティプロトタイプにも関わらず、フィードバックの質が上がったとP&Gの役員は語っている。 遊びの天才  アイディア出しでは、"Yes, and ... " (いいね、それで ...) で会話を始めるべきということは、ティナ・シーリグも指摘している。相手の意見を受け入れたことを伝えて、それを更にふくらませる態度は、しょうもない案も出して欲しいアイディア出しのプロセスではとても重要。 即興にはいくつかの原理原則がある。ひとつは、「オファーは全部受ける」べきであること。

ハーバードの人生を変える授業

脳の解釈によって現実が決まっていく。よって、脳の解釈を変えることができれば、幸福、学習、仕事の結果を変えられる(厳密には解釈が変えられる)。 幸福度は脳の解釈に90%依存する(残り10%は環境依存)。 仕事の成功は、楽観の度合い、周囲からの支援にかかっている。ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取れれることが大切。 成功が幸福を導くのではなく、幸福が脳の能力をアップさせ成功へと導く。 ポジティブになる方法 感謝(毎日3つ書き出す) 日記 運動 瞑想 親切な行動

脱常識の社会学

社会学おもしろすぎ。この本の根底にはデュルケムって人の思想があるようだ。 まえがき 「どんな学問も次の二つのことを目指さなければならない。すなわち、明快であること、そして当たり前でないこと、である。本当の知識は伝達できるものでなければならない。つまり、人に分かるように言い表すことができなければならない。しかも、何か言うに値すること、これまで知られていなかったことで、それを知れば知る前とは何かが違ってくるようなことがそこに含まれていなければならない。」 合理性の非合理的基礎 「誰もが自分の職務を果たすことだけに一生懸命で、目的に対する最も有効な手段を計算しながら、大きな機械の歯車の歯のようにふるまう。歯の目的は、特定の歯車を回すことである。歯車の歯としてふるまう人は、そもそもなぜ歯車が回らなければならないのか、機械全体を解体して別のものにとりかえた方がよいのではないか、といった点については判断ができなくなってしまう。」 「資本主義の本質は、マルクスが指摘したように、あらゆることを利潤計算に還元する傾向に他ならないからである。この過程において人間的価値は経済的価値に従属させられ、人間に対する配慮は資本主義のなかで失われてしまう。さらに、このシステムの経済的結果さえも、長期的にみれば不合理なものである。」 契約には2つの契約が含まれている。一つは契約それ自体。もう一つは、互いに契約を守るという暗黙の契約である。欺くことと約束を守ることでは、前者の方が合理的である(欺く方が期待値が高い)。人が合理的なら欺くことになる。デュルケムがこれを持ち出したのは、社会組織は、契約になど基づいていないことを示したかったから。「デュルケムの結論は、契約というものは非合理的な何ものかに基づくということである。彼はそれを「前契約的連帯」と呼ぶ。これは、要するに、社会が信頼に基づくものだということである。」 これは長期的な損得を計算に入れても成り立つと著者は云っているが、よくわからん。合理的な人間は、最低の人間と云うことだね。合理的になれ、なんて言えなくなっちゃったね。 医療費を無料から$1にしたら、来院者は激減した(適切な水準になった)。$1は十分やすいので、合理的に考えれば、減らないはず。 「重要なのは、私たちの手にする実際の利益の客観的な価値よりも、世界についての私

日本の思想

(1章はほとんど理解できなかった)40年以上前に書かれた内容が、いまでも通用することに悲しくなってきた。 「日本の思想」 「所謂現代文明の大機構の組織に加はる個人は機械的習慣の奴隷となり、自ら作り出したこの怪物に無情にも制馭せられてゐる。西洋は自由といふことを高言してゐるにも拘らず、富を得んと競って真の個性は害はれ、絶えず募り行く渇望に幸福と満足は犠牲にせられていゐる。西洋は中世の迷信から解放せられたことを誇ってゐるが、これに代つた富の偶像的崇拝を何と見るか。現代の絢爛たる仮面の背後には何といふ苦悩と不満が隠されてゐることであらう。」『日本の目覚め』より マルクス主義が席捲していた時代は、資本家による労働力搾取が酷かった。現代はどうなのだろうか。労働条件は劇的に改善しているが、「富の偶像崇拝」は加速していやしないか? 「維新の絶対王政的集中の思想的準備となったにもかかわらず、こうして出現した明治絶対主義は、当初から中江兆民によって「多頭一身の怪物」と評されたような多元的政治構造に悩まねばならなかった。」「そこにも、世界認識を合理的に整序せずに「道」を多元的に併存させる思想的「伝統」との関連を見出すに難くない。」「決断主体(責任の帰属)を明確化することを避け、「もちつもたれつ」の曖昧な行為連関(御輿担ぎ象徴される!)を好む行動様式が冥々に作用している。」 組織の思想をどうまとめればいいのか?思想の多様性を認めつつ、組織の進む方向を整えるために、何ができるのか?多様性のすり合わせは、議論によってしか行なえない。議論には合理性が求められる。合理的議論がどれほど行なわれていようか? 「第一に「実情」が共同体的習俗に根をおろしている限り、それは本来合理化=抽象化一般と相容れないものであり、したがっていかなる近代的制度も本来「実情」に適合することは不可能なのである。さらに第二に「制度」は既製品として、しかも各部門でバラバラに輸入され、制度化のプロセス(全体的計画性と個別的実態調査との結合)ぬきに実施されることが少なくないので、いよいよ現実との間に悪循環をひきおこす。その「改善」はいわゆる役人の機構いじりとなって、デスクの上で自己運動することになる。第三に元来近代的な制度やルールは社会的現実の無限の多様性を前提として、これを規格し整序するところに成り立つのであり、そ

知へのステップ

感想 特別なことや奇をてらうことは書かれていない。学生に身につけて欲しい普通のこと。 ガイドは、初学者にはわかりやすくていい。でも、あくまでも原則であって、熟達したら逸脱するのもありと伝えておきたい。 コース教員で共有し、追加・修正を加えてコースのスタディ・スキルとしてまとめたい。出版してみたい! 値段が手頃。 ワークショップを最初にやって、そのあと解説という方式は、授業に最適。 不足分は参考文献などを手がかりに補充したい。コース教員にその情報を求めてみよう。 本多勝一『日本語の作文技術』 アドラー『本を読む本』 井上真琴『図書館に訊け!』 バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』 野矢茂樹『論理トレーニング101題』 読む 概要をつかむ 目次読み 下読み ターゲットの記述箇所を熟読する キーセンテンスを探索 論旨の展開を把握 (式の変形を追う) 要約する 捨てられるもの:前置き、具体例、引用、繰り返し、修飾、言い換え 残すもの:意見、主張、まとめ ポイント 接続詞(と一部の副詞)は文の論理関係を示す 反復は強調を意味する 指示語の示す単語を把握する 重要な箇所、印象に残った箇所にマーキングする 意見をもつ 読んだ内容を理由として挙げ、意見をもつ もし自分なら、もしこういう状況なら、と仮定して考えてみる 情報収集 図書館の司書に「こういう資料を探している」と質問できる ネット検索では、誤った情報に注意 書く 事実:他者が確認できる内容のこと 意見:事実に基づく(根拠のある)論理的な主張 手順 スケジューリング 練る 情報収集 主張 アウトライン 情報整理 三部構成 書く 執筆 推敲 書式 引用 参考文献 図 表 わかりやすい 図:文字より図 表:まとめて見やすく 箇条書:まとめて見やすく 引用:説得力 短文:40文字程度 読点:動詞が2つ以上あるとき、その間に 段落:主張をいくつかに分けてわかりやすく 発表 特徴 一度きり:聞いた瞬間消え、後戻りはできない(文書ならできる) 相手の反応が見える 文字、図、表、音声、動画 手順 スケジューリング 練る 情報収

私は黒人奴隷だった

フレディの成長は、環境の変化=刺激を与える人との交流によって起きている。 読み書きのきっかけを与えたソフィア 知識が自由へと続くと(はからずも)教えてくれたヒュー・オールド 読み書きを教えてくれた路上の白人少年たち 主を求めよと説いた説教師ジョンソン はじめての本『コロンビアン・オラター』(カレブ・ビンガム編纂) 奴隷制度即時廃止を掲げた週刊誌『解放者』を出版するウィリアム・ガリソン スレイブ・ブレイカー エドワード・コウビー 自由黒人で妻のアンナ・マレー 自由黒人で季刊誌『自由の鏡』の編集者、地下鉄道活動家のデビッド・ラグルズ 武力行使による自由獲得もやむなしと主張する非ガリソン派の廃止論者ヘンリー・ガーネット 奴隷所有権を買い戻すために募金活動をしてくれた、イギリスの友人エレン・リチャードソン、アンナ・リチャードソン 黒人のモーゼと称された、地下鉄道の女性総司令官ハリエット・ダブマン 白人の、激烈な奴隷制廃止論者ジョン・ブラウン アメリカ南部の資本家へ怒りを感じた。今も基本的な体質は変わっていないのではないか。(オーナーの意味での)資本家は労働者をリソースとしてみており、自身と同じ人とは意識していないのではなかろうか。労働者なくして企業は成り立たない。この意味では企業のオーナーと労働者は共同体を構成している。しかし、労働者の替えはいくらでもいる。不満ならやめてもらってもオーナーは困らない。労働組合の意義が見えてくる(腐った組合には入りたくないが)。 子どもの奴隷たちへの食事はマッシュ(とうもろこしを粗挽いたものの粥)。ブタのエサ箱のような木の器にいれ、スプーンがわりの牡蠣の殻で食べる。人間同士の早食い競争に敗れると、犬との床に落ちたパンくずの取り合い競争へ。 寒さとの戦いも。衣服は粗末なものが年1回配給された(シャツ2枚、ズボン2本、上着1着、大人向け?)。子どもの奴隷には靴と靴下は与えられなかった。物置小屋の床がベッドで、麻袋に潜り込んで寝た。 奴隷は、体中が血だらけになるまで、主人にムチで叩かれたりした。 (1826年、フレディは主人の親類の子トミーの相手をする奴隷として移動させられる)この境遇の変化がなければ、南北戦争によって解放されるまで、わたしは奴隷だったでしょう。 生まれた時から「黒人は劣等人種だ」と

図書館に訊け!

文献の調査方法(興味のあるトピックについて記述された本に、いかに効率的にたどり着くか)について書かれた本。人的調査法(レファレンスサービス)はもっと活用してもいいらしい(ちょっと尻込みするが)。 図書館(社史、展覧会図録)には、非流通本がある(から、本屋よりもいい) 資料を探す:以下は目録と呼ばれるもの 学校図書館: OPAC :校内の資料 国立情報学研究所: NACSIS webcat :大学・研究機関の資料 国立国会図書館: NDL-OPAC :国内の資料 OCLC: WorldCat :世界の資料 検索キーワード:関連・類義表現や上位概念も含めることが大切(例:遺伝情報、DNA、ゲノム)。関連表現に通じるには、百科事典で調べるのも手。 レポートや論文を書くには先行研究の調査(文献探索能力)が必要。 探索の基本ステップ テーマの決定:問題、分析観点、の決定 【レファレンス・ブック】テーマの基本情報と背景情報の調査:概要把握、キーワードの抽出 【目録や書誌】関連図書のリストアップ 【雑誌記事索引】関連論文、記事のリストアップ 【統計・白書】ファクト・データの収集 【ウェブ、動画】ネット検索で(主に文書以外の)資料を収集 資料の評価 文献探索の方法 芋づる式:読んだ文献に挙げられている参考文献をたどっていく。引用数の多い論文は重要度が高い。 索引式:レファレンス・ブックを使って探す。 レファレンス・ブック:事実や本を分類した本、調査の始点で使われる。和訳:参考図書 事柄を調べる:辞書、事典、便覧、ハンドブック、地図、統計、年鑑、図鑑、Glossary(学会などが出す専門用語集) 百科事典:導入に読むと、手早く概要がつかめてよい。 百科事典は索引巻から読むと、漏れなく(芋づる式に関連事項を)調べられる。 複数の百科事典を比較すると、漏れなく調べられる。 ウェブ上の百科事典: ジャパン・ナレッジ+ 妹尾堅一郎 「 もっとも、この手の人を指導するのは簡単です。百科事典を調べさせるのです。ところが、そう説明すると、たいてい参加者たちは「なぜ?」といわんばかりの顔つきになります。なかには「もっと新しい知識を得ないと仕事になりません」と言ってくるビジネスマンすらいます。もちろん、最新の情報を得るため