その科学が成功を決める

心理学的な実験結果を紹介し、より実際的なアプローチ、より良い生活、よりハッピーな人生、についてアドバイスする本。説得力があり、すごくおもしろい。


  1. 「自己啓発」はあなたを不幸にする!
    1. 事実
      1. 宝くじに当たっても、幸せに感じてはいなかった(フィリップ・ブリックマン)
      2. 自分の欠点を無視しろと言われると、よりそれを感じてしまった(ジェニファー・ボートンら)
      3. 悩みを人に打ち明けても、幸福度は向上しなかった(エマニュエル・ゼックら)
      4. 不幸なできことを書くことは、健康、自信、幸福感の面でメリットがある(複数の心理実験)
      5. 物より経験のほうが短長期幸福感が得られる(リーフ・バン・ボーベンら)
      6. 人のためにお金を使う人は幸福度が高い(エリザベス・ダン)
      7. 人に親切な事をすると幸福感が高まる(ソニア・リュボミルスキーら)
      8. 自尊心の低い子供は物質主義になりがち(ラン・グエン・チャプリンら)
      9. 微笑みの表情をつくるように言われたグループは、眉をしかめるよう言われたグループより、ずっと幸せを感じた(記載なし)
      10. 鉛筆を歯でくわえ(笑った表情を作り)漫画を読んだグループは、唇だけでくわえ(不満顔を作っ)たグループより、漫画を可笑しいと感じた(フリッツ・ストラックら)
    2. 成功へのステップ
      1. 風変わりな日記:以下の内容に関して数秒で考えて書き出す。
        月:この一週間を振り返り、様々な出来事、もの、人への感謝(ロバート・エモンズら)
        火:これまでの人生で最高にしあわせだったとき
        水:懸命に努力した結果、全てが思い通りに進んで、得られた未来(ローラ・キング)
        木:もっとも大事な人に最後に一回だけ手紙を書くチャンスがあるとしたら(コリー・フロイド)
        金:この一週間を振り返り、とてもうまくいったこと
      2. お金の使い方
        買うなら物より体験を
        他人の為にお金を使いなさい
      3. 見た目を変える
        本気の笑い顔を(定期的に)作る
        背筋をのばす(トミー・アン・ロバーツ)
        腕を大きく振り、足取りを軽くする(ペーター・ボルクナウ)
        表情豊かに、身振り手振りを交えて話す(ペーター・ボルクナウ)
        プラスの言葉(愛、好き、良い)を多く使う(ペーター・ボルクナウ)
        自分自身を指す言葉(私は、私に、私自身)はあまり口にしない(ペーター・ボルクナウ)
  2. 「面接マニュアル」は役立たずだった!
    1. 事実
      1. 多くの人が助けてくれそうな時、誰も助けてくれない(ビブ・ラタネら)
      2. 赤ちゃんの写真を入れておくと、落とした財布が戻ってくる確率が高い(ハーヴェイ・ホーンスタイン)
    2. 成功へのステップ
      1. 面接では...
        好感度を上げる:自分を心から好きになれる点を考えておく、面接官に敬意を示す、互いに興味をもてる仕事外の話題で雑談する、会社に対する興味を示す(そのための質問をする)、笑顔を見せる、視線を合わせる(チャド・ヒギンスら)
        話すタイミングを考えておく:弱点は最初に話して誠実さを、強みは最後の方で話し謙虚さを、それぞれアピールする。(エドワード・ジョーンズら)
        ミスは気にしない:ミスしても何度も謝らないで、別の話題に進む。
      2. 好感度を高める方法
        フランクリン効果:人は力を貸した相手を好きになる(ジョン・ジェッカーら)
        失策効果:完璧と思われている人ほど、失敗した時の好感度があがる(エリオット・アロンソン)
        噂話:誰かの悪口を言っても、ほめても聞き手は自分が言われていると感じる(ジョン・スコウロンスキーら)
      3. 相手にいい返事をもらう方法
        ・まず当たり障りのない、ポジティブな言葉(調子はどう?と問う)を言わせてから、本題に入る。
        ・ランチやコーヒーを驕ってから、本題に入る。
        ・ユーモアのある一言を添える。
        ・みんなに頼むのではなく、個々に頼む。
        ・先に(負担に感じない程度の)恩恵を施し、あまり時間あけず依頼をする(フィリップ・クンツら)
  3. イメージトレーニングは逆効果
    1. 事実
      1. 成功イメージを予め持つことは、成功につながるわけではない(リアン・ファムら)
      2. 食べ物をみせたときマイナスイメージ(他の人の分まで食べしまう、など)を持っていた者は、プラスイメージ(自制して食べないでいられる、など)を持っていたものより、ダイエットに成功していた(ガブリエーレ・エッティンゲンら)
      3. 卒業後理想の職場で働く成功した自分を、高頻度で想像していた学生は、2年後の追跡調査では、求人への応募回数、会社から声をかけられた回数、給与が低かった(ガブリエーレ・エッティンゲンら)... 理由は、挫折への対処が出来ないから、あるいは現実逃避に走るため、ではないかと推定されている。
      4. ほんの数分でいいから手を付ける、というアプローチが、物事の先延ばしを防止してくれる(出典不明)
      5. 葬儀社の前でアンケートをとると、慈悲深い回答が増えた(出典不明)
    2. 成功へのステップ
      1. 目標設定:(リチャード・ワイズマン)
        ・最終目標は?
        ・最終目標に到達するためのステップ目標は?ステップは5段階以下で、詳細なもの(クリア出来ると思う理由、ステップクリアの方法、〆切、成功報酬)。
        ・最終目標クリア時のメリット(3つ)は?(自身にとって、他者にとって)
        ・最終目標の公表方法は?
      2. 目標設定:(ガブリエーレ・エッティンゲン)
        あ. 最終目標は?
        い. 達成後の最大のメリットを一言でいうと?
        う. 達成のための最大の障害は?
        え. 達成後のメリットをもう一つ挙げるとすれば?(一言で)
        お. 達成のための次の障害は?
        か. いを具体的・詳細に説明すると?
        き. いの達成後のメリットを全て挙げると?
        く. うを具体的・詳細に説明すると?
        け. うの障害はどのようにして目標実現を妨げ、また、あなたはどんな段階を踏んで対処するのか?
        こ. えを具体的・詳細に説明すると?
        さ. えの達成後のメリットを全て挙げると?
        く. おを具体的・詳細に説明すると?
        け. おの障害はどのようにして目標実現を妨げ、また、あなたはどんな段階を踏んで対処するのか?
      3. ダイエット:
        ・人は食べ終えたという事実でもって食べる量が規定される。食べてる途中でこっそり75%も継ぎ足されていたスープ(被験者はそれに気づかなかった)を飲み終えた後の満腹感は、継ぎ足されていない場合と同じであった。(ブライアン・ワンシンク)
        ・最初は同じ速さ、途中からゆっくり味わうと食べる量が減る(コービー・マーティン)
        ・バーテンダーにシングルを注いでと頼むと、細長いグラスでは、幅広で背が低いグラスより17%少なかった(ブライアン・ワンシンクら)
        ・社員の近くにチョコを置くと、消費量が遠くに置いた時より6倍増えた。透明な容器に入れると不透明な容器の46%に増えた(出典不明)
        ・映画に夢中な人はポップコーンをたくさん食べる。おもしろい話しを聞きながら食べると、量が増える。(出典不明)
        ・大きな皿を使うと、たくさんアイスクリームをすくった。大きなスプーンを使うとたくさんチョコチップを盛った。(ブライアン・ワンシンク)
        ・食事日記をつけた者は倍減量した(カイザー・パーマネント健康調査センター)
  4. まちがいだらけの創造力向上ノウハウ
    1. 事実
      1. 一般的な集団思考の実験20種類を調べた所、一人で考える方が量も質も高かった(ブライアン・ミューレン) ... その理由は社会的手抜きで説明されている。
      2. 一人で引くと85kg、皆で引くと一人当たり65kgまでしか重いものを動かせなかった(マックス・リンゲルマン)
      3. ダリはうたた寝して、起きた直前に感じていたイメージを絵にした。
      4. 別の作業(モニターの点の色が変わる度にクリックさせる)をさせてからのほうが、創造的なパスタ名を考え出せた(アプ・ダイクステルホイス)
      5. 緑の多い地区は、犯罪が48%、暴力事件が52%少なかった(出典不明)
      6. 緑のある職場は、男性社員からアイディアを15%多く出させ、女性社員の問題対応を柔軟にした(出典不明)
      7. メンバーを入れ替えた方が創造的になる(チャーラン・ネメス)
      8. 事前にパンクについて意見を書いた者は、技術者について書いたものより、創造的だった(イェン・フェルスター)
      9. 緊張を取り除き、気持ちを穏やかにすると、創造的なアイディアが生まれる(出典不明)
    2. 成功へのステップ
      1. 創造的な問題解決方法
        ・問題は何?
        ・クロスワードパズル、数独、他のパズルなどで、意識を忙しく働かせる。
        ・考えすぎずに、頭に浮かんだ考えや答えを書き出す。
      2. 発想法
        ・ちがうことをする:ある問題に熱中した後は、自分を解放する。
        ・視点を変える:子供、友人、芸術家、愚か者、会計士はどう見るか?
        ・遊ぶ:15分休憩し、笑える映画を見たり、写真にいたずら書きしたりする。
        ・好奇心を持つ:不慣れな事について問うてみる(バナナはなぜ黄色?人は何故笑う?)
      3. 発想を生む環境・状態
        ・緑にかこまれている
        ・テーブルを引く(ロナルド・フリーマンら)
        ・腕組みをする(ロン・フリーマンら)
        ・横になる(ダレン・リプニッキら)
        ・一つを除いて同形が複数並ぶ絵を飾る(イェン・フェルスター)
      1. 意識 vs 無意識:無意識の中から創造性が生まれる
      2. リラックスしても、意識が働くだけ。
  5. 婚活サイトに騙されるな
    1. 事実
      1. 胸の大きいほど、女性はナイトクラブで声をかけられる回数が増加した(ニコラ・ゲゲン)
      2. 丁寧な応対で前向きな相槌を入れるよりも、客の注文を復唱確認するほうがチップがたくさんもらえた(リック・ファン・バーレンら)
    2. 成功へのステップ
      1. そっと腕に触れよう:すると、ナイトクラブでダンスの誘いに応じる率、街角で電話番号を教えてくれる率、が大幅に上昇した(ニコラ・ゲゲン)
      2. 意表をつく、独創的な質問を:すると、スピードデートで相手から好意を持たれる(リチャード・ワイズマンら)
      3. 八方美人はやめて1-2人に注力する(ポール・イーストウィックら)
      4. ドキドキする場所でデートを:揺れるつり橋の上で女性調査員が一般男性にアンケートをすると、後で問い合わせ(と称したコンタクト?)電話をかけてくる割合が多くなった(ドナルド・ダットンら)
      5. いきなり個人的な話を打ち明ける:すると、親密度が高まる(アーサー・アーロン)
  6. ストレス解消法のウソ
    1. 事実
      1. 犬を連れてあるくと、街中で話しかけられることが増えた(デボラ・ウェルズ)
      2. ノンアルコールビールでも、ビールと信じていれば、飲んで酔った(リチャード・ワイズマンら) ... プラシーボ効果
    2. 成功へのステップ
      1. ストレス体験でのプラス面を考える:より強くなれた、自分の人生を大切に思えるようなった、賢くなった、絆が深まった、自分の感情を上手く伝えられた、思いやりが深まり人を許せるようになった(マイケル・マカラックら)
      2. 犬を飼う、動物の映画を見る(デボラ・ウェルズ)
      3. ダイエット時にはカロリー消費量リストを張っておく:作業一つ一つのカロリー消費量を伝えられたホテルの客室係は、伝えられていない者より体重、肥満度、ウェスト/ヒップ比、血圧が低下した(アリア・クレムら)
  7. 離婚の危機に瀕しているあなたに
    1. 事実
      1. 他の夫婦と比較して良い点を挙げた夫婦は、(ただ自分たちの良い点を挙げた場合より)自分の伴侶への評価が高かった(ブラム・ブーンク)
    2. 成功へのステップ
      1. 同じゴールを目指す(一緒に休暇を過ごす)
      2. 新鮮な活動を行なう(相手の意表をつく)
      1. 行動は、思考や感情を変える
  8. 決断力の罠
    1. 事実
      1. 集団で考えるとよりリスクを取る、あるいはより保守的になる、という極端に走る傾向があった(ジェームズ・ストーナー)
      2. 給与が5万ドルで同僚のは3万ドルの会社Aと、給与6万ドルで同僚のは8万ドルの会社Bでは、大多数がAを好ましいと選んだ(出典不明)
      3. 25セント硬貨か37セントを恵んでくれというと、いつもより多くの通行人が恵んだ(出典不明)
      4. 「3ドルです」というより「300セントつまり3ドルです」と言うほうが売上が倍になった(出典不明)
      5. 簡単なアンケートに答えてもらった数日後、調査員6名でお宅の収納棚について調べさせて欲しいと言うと、ストレートにお願いする場合(25%)の倍(被験者の50%)が了承した(ジョナサン・フリードマン)
      6. 今後2年間毎週2時間ずつ非行少年のカウンセリングにつきあってくれないかと要望し断られた後、では、彼らを動物園に1日連れていってくれないかと頼むと被験者の半数から了承された。前段なしで頼んだ時は20%しか了承されなかった。(ロバート・チャルディーニ)
    2. 成功へのステップ
      1. 直感で選ぶ:
        ・問題は何か?
        ・アナグラムをする。
        ・上の問題に短時間で答える。
        ファクト:じっくり考えて絵画を選んだグループは当初自身が選んだ絵に満足し高額で査定したが、4週間経つと、直感で選んだグループの方がその傾向が高くなった(アプ・ダイクステルホイスら)
      2. 行動する:75%の後悔はしなかったことへのものだった(トマス・ギロビッチ)
  9. 「ほめる教育」の落とし穴
    1. 事実
      1. 頭がいいと褒められたグループの65%は、その後、難易度の異なる課題を選択させられた時、容易な方を選んだが、褒められなかったグループは45%しか簡単な方を選ばなかった。さらに、両グループに難易度の高い課題を与えると、褒められたグループは楽しめず、家に持って帰るという者も少なかった。そして、再度、容易な課題を与えてみると、褒められたグループの方が成績が悪化した。これに対して、努力を褒められたグループは、難しい課題をやりたがり、家に持って帰るといい、成績は向上した(当初両グループの成績は同じであった)(クラウディア・ミューラーら)
      2. 被験者の1/3に当たるマシュマロを食べるのを我慢できた子(4才)は、10年後(14才)に、自立した少年に成長しており、困難を乗り越えるのがうまく、挫折から立ち直る力を持っていた(ウォルター・ミシェル)
      3. 厳しく使用を禁じられたグループは、後日好きなおもちゃで遊んで良いよと言われると、前に禁じられた玩具で遊ぶ率が77%で、穏やかに禁じられたグループの33%より高かった(ジョナサン・フリードマン)
    2. 成功へのステップ
      1. 褒めるなら、努力、集中力、時間管理、などの行動に対して
  10. 心理テストの虚と実
    1. 事実
      1. 性格の5成分:
        ・開放性
        ・勤勉性
        ・外向性
        ・協調性
        ・情緒安定性

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